第83章 私はあなたの妻ではない

しかし、彼はすぐには彼女を食べたりはしない。

ゆっくりと。今彼女に触れれば逆効果になるだけだ。

東山裕が物思いに耽っていると、海野桜は苛立たしげに彼を押しのけた。「話は終わったでしょ!どいて!」

東山裕は立ち上がり、冷笑した。「昔はこうされるのを望んでいたはずだろう?」

海野桜はスーツケースを開けながら、振り向きもせずに言った。「それは昔の話よ...東山裕、私はもう昔の私じゃないの。」

「......」東山裕は深く彼女を見つめ、何も言えなくなった。

気分が、なぜか暗くなっていく。

空気も突然凍りついたように...

海野桜がスーツケースを開けると、東山裕も開けた。

海野桜は自分の衣類を探し出そうとして、驚愕した!

「これは何!?」彼女はトランクスを次々と取り出し、非常に驚いた。

これは全部男物の下着で、彼女のものではない!

東山裕は驚いて一瞥し、自分のスーツケースの中を見た。

彼のスーツケースには、女性の下着が山積みになっていた。

東山裕はレース付きの半透明の赤いパンティーを取り出し、さらに黒いものも...どれも非常にセクシーだった!

海野桜は横目でそれを見て、大変驚いた!

「触らないで!」彼女は急いで駆け寄り、それらを全部掴んで抱きしめた!

しかし慌てすぎて、一枚が床に落ちてしまった。

海野桜が拾おうとした時、東山裕が素早く拾い上げた。

「返して——」海野桜は恥ずかしさと怒りで奪い取ろうとした。

男は彼女の手を避け、パンティーを高く掲げて広げ、その官能的なデザインが一目で分かるように!

「きゃあ——」海野桜は恥ずかしさのあまり叫び、猛然と跳びついて奪い取った!

彼女の顔は、茹でエビのように真っ赤になっていた...

くそっ、もう生きていけない!

東山裕は何かを悟ったように深い笑みを浮かべた。「海野桜、君がこんなに淫らだとは思わなかったよ。わざと入れ替えて、僕にこれを見せたかったのか?」

海野桜は死にたいほど恥ずかしく、「私がやったんじゃない!」

きっと張本家政婦だ。荷物は全部彼女が片付けたのだから。

張本家政婦は良かれと思ってやったのだろうが、とんでもないことをしてくれた!

東山裕は全く信じていなかった。「これらが君が買ったものじゃないとは言えないだろう?」

確かに彼女が買ったものだった...