しかし、彼はすぐには彼女を食べたりはしない。
ゆっくりと。今彼女に触れれば逆効果になるだけだ。
東山裕が物思いに耽っていると、海野桜は苛立たしげに彼を押しのけた。「話は終わったでしょ!どいて!」
東山裕は立ち上がり、冷笑した。「昔はこうされるのを望んでいたはずだろう?」
海野桜はスーツケースを開けながら、振り向きもせずに言った。「それは昔の話よ...東山裕、私はもう昔の私じゃないの。」
「......」東山裕は深く彼女を見つめ、何も言えなくなった。
気分が、なぜか暗くなっていく。
空気も突然凍りついたように...
海野桜がスーツケースを開けると、東山裕も開けた。
海野桜は自分の衣類を探し出そうとして、驚愕した!
「これは何!?」彼女はトランクスを次々と取り出し、非常に驚いた。
これは全部男物の下着で、彼女のものではない!
東山裕は驚いて一瞥し、自分のスーツケースの中を見た。
彼のスーツケースには、女性の下着が山積みになっていた。
東山裕はレース付きの半透明の赤いパンティーを取り出し、さらに黒いものも...どれも非常にセクシーだった!
海野桜は横目でそれを見て、大変驚いた!
「触らないで!」彼女は急いで駆け寄り、それらを全部掴んで抱きしめた!
しかし慌てすぎて、一枚が床に落ちてしまった。
海野桜が拾おうとした時、東山裕が素早く拾い上げた。
「返して——」海野桜は恥ずかしさと怒りで奪い取ろうとした。
男は彼女の手を避け、パンティーを高く掲げて広げ、その官能的なデザインが一目で分かるように!
「きゃあ——」海野桜は恥ずかしさのあまり叫び、猛然と跳びついて奪い取った!
彼女の顔は、茹でエビのように真っ赤になっていた...
くそっ、もう生きていけない!
東山裕は何かを悟ったように深い笑みを浮かべた。「海野桜、君がこんなに淫らだとは思わなかったよ。わざと入れ替えて、僕にこれを見せたかったのか?」
海野桜は死にたいほど恥ずかしく、「私がやったんじゃない!」
きっと張本家政婦だ。荷物は全部彼女が片付けたのだから。
張本家政婦は良かれと思ってやったのだろうが、とんでもないことをしてくれた!
東山裕は全く信じていなかった。「これらが君が買ったものじゃないとは言えないだろう?」
確かに彼女が買ったものだった...