「それに私はあなたと離婚するところだし、私の素晴らしい人生はこれから始まるの。私は自分の命を大切にするわ」
そう言うと、彼女は胸を張って自分の車へと向かった。
今日彼女が運転していたのは控えめな白いBMWだった。
これは彼女が所有する数台の車の中で、最も地味で安価なものだった……
東山裕は彼女が車で去っていくのを見届けてから、車に乗り込み、運転手に出発するよう指示した。
彼らは早めに出発したため、道路は渋滞もなく、すぐに会社に到着した。
二台の車が前後して到着した。
車を降りると、海野桜は率先して東山裕に尋ねた。「今日は何をすればいいですか?」
男は彼女を一瞥し、事務的に答えた。「まず90階に来てもらって、山田大川が仕事の手配をする」
「はい」
エレベーターのドアが開き、二人が中に入ると、海野桜は自ら90階のボタンを押した。
東山裕は突然また言った。「この期間、君は会社の社員として扱われる。これからは私を見かけたら、社長と呼ぶように。しっかり働けば、給料は一銭も減らさずに支払う」
「……」海野桜は振り向いて、恭しく頷いた。「はい、社長様~~~」
その声は、決して恭しくはなかった。
東山裕は彼女を一瞥したが、何も言わなかった。
……
今回のデザインチームは、会社がすでに結成していた。
海野桜を加えて、たった四人のデザイナーがこの案件を担当することになった。
結局このプロジェクトはそれほど大きくなく、東山もそれほど重視していなかった。
しかし海野桜が予想もしなかったのは、今回のチームリーダーが林馨だったことだ!
山田大川は海野桜をチームの事務所に連れて行き、三人のデザイナーを紹介した後、「奥様、いえ、浜田さん、今回一緒にデザインを担当するのは林課長です。社長の指示で、彼女からしっかり学ぶようにとのことです」
海野桜は「……」
東山裕はわざとやっているに違いない!彼は絶対にわざとやっているのだ!
彼女が林馨を嫌っているのを知っていながら、わざと林馨に彼女のデザインを指導させる、これは明らかな報復だ!
海野桜は心の中で不快感を覚え、表情にも出ていた。