「ええ、今救命処置中です。幸い早期発見できたので、命に別状はないかもしれません。」
「どこにいるの?」
「市立第一病院です。」
「すぐ行きます。」東山裕は電話を切り、直ちに病院へ向かった。
今朝、林馨から突然かかってきた電話で、何か良くないことが起きたと予感していた。
なんとなく、何かを察していた。そして、それは恐らく自分に関係することだった。
しかし林馨は彼の電話に出ず、確認のしようがなかった。
まさか、彼女が自殺を図るとは!
東山裕は、昨夜ホテルで何か重大なことが起きたに違いないと確信を深めた!
しかも非常に深刻な事態に違いない。でなければ林馨がそれほど異常な行動を取るはずもなく、自殺まで図るはずがない……
東山裕は運転しながら、眉間にしわを寄せていた。
何となく予感があった。すぐに厄介な問題に巻き込まれそうな気がした。
そう考えると、東山裕はすぐに携帯を取り出し、山田大川に電話をかけた。「すぐに会社近くの銀座ホテルの昨夜の監視カメラを確認してくれ。林馨が何か事故に遭ったかもしれない!」
「はい!」山田大川は何も聞かずに電話を切り、すぐに調査に向かった。
東山裕が病院に着いた時、林馨はまだ救命処置中だった。
柴田治人は暗い表情で外に座っており、彼が来るのを見ると立ち上がって尋ねた。「裕兄、一体何が起きたのか知っていますか?」
柴田治人の様子は冷たく、林馨の自殺未遂は明らかに彼の心情に影響を与えていた。
東山裕は知っていた。彼が林馨のことを好きで、彼女に求愛していたことを。
「私にもわかりません。」東山裕は冷静に答えた。「ただ、何か誤解があるのではないかと思います。」
「誤解?どういう意味ですか?」柴田治人には理解できなかった。
東山裕は経緯を全て説明し、さらに低い声で付け加えた。「具体的に何が起きたのかはまだ分かりません。調査を依頼したところです。」
柴田治人の目が微かに揺れ、何かを察したようだった。
しかし今は証拠がないため、確定的な判断はできなかった。
それに彼は東山裕を信じていた。彼が何かをするはずがないと!
しかし、一体誰が林馨に何をしたのか?
そう考えると、柴田治人は心の中の怒りを抑えきれなかった。
……
橋本友香の体温はすぐに制御できた。