海野桜は風呂を済ませ、ベッドに横たわってしばらくすると、突然携帯が鳴った。
電話は東山裕からだった。
彼女は直接切って、出なかった。
東山裕は再び電話をかけてこなかったが、しばらくして、彼女の携帯にメッセージが届いた。
【玄関にいる。開けてくれ。】
林馨と春の夜を過ごすのではなく、何しに来たのだろう?
海野桜はイライラしながら起き上がり、ドアを開けてベランダへ向かった。
玄関の外、明るい街灯の下に、黒いマイバッハが停まっていた。
東山裕は白いシャツを着て、腕を組み、車のドアに寄りかかってくつろいだ様子で、ずっと彼女の寝室の方向を見つめていた。
海野桜が出てくるや否や、彼は即座に彼女を見つけた。
二人の視線が交差し、一方は冷たく平淡で、もう一方は深く熱い。
東山裕は突然口元を緩め、暖かな街灯の光が彼の顔に降り注ぎ、彼の整った顔立ちを浮かび上がらせた。