一昨日の夜、東山裕と一緒になってから、彼女は本当に何もかも忘れ、何も気にしなくなった。
今になって気づいたが、まだ解決すべき問題が山積みなのだ!
例えば、東山裕が代表として選ばれたかどうか……
それに、彼の服役の件がバレてしまったことを、どう収拾するのか?
これらの問題はどれも小さな問題ではない。
最初の問題は祖父の命に直接関わること、そして全員の命の安全に関わることだ。
二つ目の問題は、東山家全体の存亡に直接関わっている。
とにかく、これらの問題はすべて深刻だ。
海野桜がぼんやりしていると、東山裕がバスタオルを巻いて出てきた。
バスタオルはゆるくたくましい腰に巻かれ、引き締まった胸筋と腹筋、そして長くまっすぐな太ももが露わになり、とてもセクシーだった……
海野桜は彼の姿を見て、思わず顔を赤らめた。
東山裕は身を乗り出し、笑いながら彼女の唇にキスをして、怠惰な様子で尋ねた。「今、誰と話していたの?」
「お母様よ」海野桜は彼の体から漂う淡いボディソープの香りを嗅ぎながら、眉をひそめて言った。「どうしよう、お母様が言うには、あなたが服役していたことはみんな知っているわ。今、会社の株主たちはあなたが戻って説明するのを待っているのよ!」
東山裕は眉をひそめた。それは彼女が言った問題のためではなく……
「なぜまだ『お母様』と呼んでいるの?『ママ』と呼ぶべきじゃない?」
海野桜は少し驚き、すぐに不機嫌そうに言った。「今そんなことを気にしている場合?」
東山裕はそのまま座り、彼女の体を抱きしめ、魅力的に笑った。「これは重要な問題だよ。君は僕の妻で、僕のママは君のママでもあるんだから、『ママ』と呼ぶべきじゃない?」
海野桜は実際、急に呼び方を変えることに慣れていなかった。
結局、彼女と東山裕が離婚してからずっと、鴻野美鈴のことを「お母様」と呼んでいたのだ。
しかし彼女はこの問題にこだわらなかった。
「わかったわ、ママって呼ぶわ。ママはすぐに帰るように言ってるの。昨日帰るべきだったのよ!とにかく今から飛行機のチケットを予約して、すぐに出発しましょう!」
しかし東山裕はまったく急いでいる様子はなかった。「急がなくていいよ、あと数日遊ぼう」
海野桜は驚いた。「なぜ?会社が混乱するのが怖くないの?」
「もう混乱しているだろうね」