彼の言うことも正しい。
彼が認めなくても、警察署には記録があり、隠せるものではない。
でも……
「これだけでいいの?あなたが認めたら、会社は影響を受けないの?」
東山裕は首を振った。「もちろんそんなことはない。でも大丈夫、こういった影響は予想していたんだ。ある程度の損失は避けられないけど、心配しなくていい」
「きっとたくさん損失するわ……」海野桜はまだ心配していた。
彼女は誰よりも、東山裕が会社にどれだけ心血を注いできたかを知っていた。
どれだけ損失しても、それは彼の心血なのだ。
彼が痛みを感じなくても、彼女は彼の代わりに心を痛めていた。
東山裕は笑って言った。「仕方ないよ、結局僕は過ちを犯したんだから。責任を負うのは当然だし、この損失も自業自得さ」
「でもあなたはもう半年の代償を払ったじゃない」
「半年なんて足りないよ」東山裕は彼女の顔を優しく撫で、柔らかく言った。「あんなに君を傷つけたんだ、死んで償っても足りないくらいだよ!今、君が僕を許して、再び受け入れてくれるなんて、半年の代償で済むなら、本当に安いものだ!」
少し間を置いて、東山裕はまた低い声で言った。「東山グループ全体を失っても、それだけの価値がある——」
海野桜は少し震えた。
心の底に大きな石が投げ込まれたように、無数の波紋が広がった。
東山裕はアイスクリームを置き、彼女を抱き寄せ、深く見つめながら、かすれた声で言った。
「桜、今、君を得られたから、それで十分だ。会社のことは心配しないで、どれだけ損失があっても、僕の気持ちには影響しない。どんな利益も、君と一緒にいることで得られる幸せほど重要じゃないんだ。ただ覚えておいて欲しい、僕は君と一緒にいて、とても幸せだということを。他のことは何も重要じゃない!」
海野桜は突然、鼻が酸っぱくなった。
彼女は本当に思ってもみなかった、自分が東山裕の心の中でこれほど重要な存在だとは。
まさか東山グループ全体よりも彼女が大切だなんて……
東山は小さな会社ではない、アジアビジネス界の神話であり、巨大なビジネス帝国なのだ。
世界中の人々が、東山裕の持つ富に狂喜するだろう。
しかし彼の目には、それらすべてが彼女と一緒にいることほど重要ではないのだ。
海野桜の心は突然、感動でいっぱいになった。