「気分が乗らないわ!」海野桜は元気なく言った。
東山裕はすぐに緊張した。彼は手を伸ばして彼女の額に触れた。「具合が悪いの?胸が苦しいの?」
「そうよ……」
東山裕は眉をひそめ、顔も暗くなった。「なぜ早く言わなかったんだ?!体調が悪いなら医者に診てもらうべきだ。海野桜、お前は本当に一瞬たりとも安心させてくれないな!」
責める口調ではあったが、それでも彼は緊張して彼女を抱き上げ病院へ連れて行こうとした。
しかし、海野桜は手を伸ばして止めた。「病院に行く必要はないわ。傷が痛むんじゃなくて、心が痛むの」
東山裕は呆然として、疑問に思った。「心が痛む?」
海野桜は悲しそうに彼を見つめ、率直に尋ねた。「会社がこんな状態なのに、どうして私に言わなかったの?」
東山裕はすぐに全てを理解した。