第500章 このチャンスは私のためのもの

何も手に入れられず、何も持っていないのに、私はまだあなたを諦められない！

あんなことがあったのに、私はまだあなたを愛している！

東山裕、あの時私がどれほど自分を憎み、死にたいと思ったか、あなたには分からない——」

「もう言わないで！」東山裕は彼女をきつく抱きしめ、心が痛くて死にそうだった！

「海野桜、お願いだからもう言わないで、ごめん、全て私が悪かった、ごめんなさい！」

東山裕は何度も謝り続けたが、海野桜はまだとても辛かった。

彼女は彼の胸に顔を埋めて悲しく泣き、すぐに彼女の涙が彼のシャツを濡らした。

そして東山裕の目も潤んだ。

彼女がこんなに悲しんでいるのを見て、彼の心も同じように苦しかった。

まるで何千もの針が刺さるように、言葉にできないほど痛く、神経も震えていた……

しかしこの時、彼にできることは何もなく、ただ彼女をきつく抱きしめ、キスをし、無言で慰めることしかできなかった。

しかし海野桜もそれほど悲しんでいるわけではなく、ただ心の中の不満が長い間溜まっていたので、突然全て解放されて、少し耐えられなかっただけだった。

少し泣いた後、彼女はずっと良くなり、そんなに辛くなくなった。

東山裕は彼女が徐々に落ち着いてきたのを感じ、彼女の額、頬、鼻、そして唇に優しくキスをして、低い声で言った：

「妻よ、辛いなら俺を殴ったり罵ったりしていいよ。もう悲しまないで、君がこんなに辛そうにしているのを見ると、俺は君の何倍も辛いんだ。だから泣かないで、そうじゃないと俺は本当に耐えられないよ！」

海野桜は彼を見て、すすり泣きながら言った：「大丈夫よ、今はそんなに悲しくないわ、さっきはちょっと我慢できなかっただけ……」

東山裕は理解して頷いた：「わかってる、ずっとこれらのことを君に言えなかったのは、また君の傷を開けて、辛くさせるのが怖かったからだ。それに、君が俺を責めるのも怖かった……海野桜、まだ俺を恨んでる？」

東山裕は少し緊張して彼女を見つめた。

彼は本当に怖かった、彼女がまだ完全に彼を許していないこと、まだ彼を恨んでいること……

また、全てを明かしたら、彼らの関係に影響が出るのも怖かった。

海野桜は一瞬驚いた、「あなたは私が責めるのを恐れて、ずっと言わなかったの？」

「そうだ。」東山裕は軽く頷いた。