海野桜は橋本友香を支えて病院の廊下を歩いていた。
そして正面から強い存在感を放つ一団が歩いてくるのを見た。
中央を歩く男性は背が高くハンサムで、並外れた風格があり、中年の貴婦人を支え、周りには道を開ける5人のボディーガードがいた。
周囲の患者や医師たちは皆道を譲り、彼らの威厳に驚いていた。
海野桜は彼らを見て、立ち尽くし、非常に驚いた。
橋本友香はよく見えず、無意識に言った。「桜ちゃん、あれは東山様が来たの?」
「違うわ…」海野桜は橋本友香を引っ張って立ち去ろうとしたが、東山輝昭と藤原恭子はすでに彼女を見つけていた。
藤原恭子は突然ボディーガードに命じた。「あの子を止めなさい」
「はい、奥様!」二人のボディーガードがすぐに駆け寄り、海野桜の行く手を阻んだ。
海野桜の心臓がドキンと鳴り、鋭い目で問いただした。「何をするつもり?どいて!」
「うちの奥様があなたに話があるんだ!」一人のボディーガードが威厳を持って言い、少しも道を譲る様子はなかった。
海野桜は振り返り、藤原恭子の陰気な視線と目が合った。
海野桜は藤原恭子に会ったことはなかったが、彼女が東山輝昭の母親だと推測できた。そして彼女を見て、二つの印象を持った。
一つ目は、この年配の女性は美しくなく、一目で陰険そうに見え、自分の義母とは大違いだということ!
二つ目は、東山輝昭が彼女に少しも似ていないということだった…
東山輝昭はすでに藤原恭子を支えて彼女たちの前に来ていた。
藤原恭子の視線は海野桜だけに向けられ、東山輝昭も彼女を見ていたが、その眼差しは漆黒で冷淡で、何の感情も読み取れなかった。
一方、橋本友香は東山輝昭を見つめ、驚きの表情を浮かべていた!
この人、どうして東山裕にそっくりなの?
海野桜は遠慮なく藤原恭子たちを見つめ、皮肉を込めて尋ねた。「あなたたち何をしているの?まさか、白昼堂々、大勢の前で強盗するつもり?教えておくけど、私に何かあったら、警察はすぐにあなたたちを探し出すわ。あなたたちには前科があるんでしょ?大人しくしていた方がいいわよ!」
藤原恭子は冷笑して言った。「小娘、大した能力もないくせに、口だけは達者ね。誰があなたにそんな態度で私に話す勇気を与えたの?」
「私だ、何か問題でも?」傲慢で低く横柄な声が突然割り込んできた!
東山裕が来たのだ!