第535章 彼女を追い出せ

特に今の夜、その感覚は、骨の髄まで染み渡っていた。

柴田治人は気分が沈み、本を見つめても一文字も頭に入らなかった。

少しイライラして本を投げ出したその時、病室のドアが突然開かれた——

そして彼は橋本友香が息を切らして入り口に立ち、真っ赤な目で彼をじっと見つめているのを見た!

彼女がどうやってここまで来たのか分からなかったが、彼女は薄着で、ただ薄い淡灰色のセーターを一枚着ているだけだった。

髪は乱れ、息遣いも乱れていた。

彼女のその姿を見て、柴田治人の漆黒の目がきらりと光ったが、口から出た言葉は冷たかった。「何しに来た、出て行け!」

橋本友香の目にはすぐに涙が溜まった。

来る途中、彼女は彼が病気だということを信じられなかったが、今彼の姿を見て、それが本当だと信じた。

まるで彼の言葉を聞いていないかのように、橋本友香はゆっくりと彼に近づき、目の中の涙はいつでも落ちそうだった。

柴田治人は不機嫌そうに目を細めた。「橋本友香、出て行けと言ったんだ、聞こえなかったのか?!」

橋本友香は首を振り、彼女は俯いて目を閉じ、涙が一滴また一滴と床に落ちた。

そして彼女はそのまま泣き始めた、とても悲しそうに。

柴田治人の表情はますます暗くなり、額の青筋が耐えきれずに脈打っていた。

「黙れ——」彼はいらだたしく叱りつけたが、効果はなく、橋本友香はますます悲しそうに泣いた。

彼女も泣きたくはなかったが、本当につらかった。

柴田治人が死んでしまうと思うと、まるで心を誰かに掘り出されるような苦しさで、心の底からの悲しみは止められず、一言も言葉にできなかった。

ただただ悲しくて泣きたかった……

柴田治人は彼女がこんなに泣くとは思わなかった、冷笑して言った。「もういい、その偽善はやめろ、そんなことをしても私には通用しない!」

橋本友香は地面に蹲って泣きながら尋ねた。「どうしてこうなったの、お兄さん、どうしてこうなったの……」

「これでいいじゃないか、私が死んだら、柴田家のすべてはお前たち母娘のものになる!」柴田治人は皮肉を込めて言った。

橋本友香は苦しそうに首を振った。「何もいらない、ただあなたに元気でいてほしいだけ……」