そこで二人はすぐに専用機でロサンゼルスへ向かった。
彼らはバスケットボールの試合を見に行くところで、二人とも若い頃はバスケットボールファンだった。
海野桜がこのことを知り、とても羨ましく思った。
「お父さんとお母さん、本当に仲がいいわね。こんなに長い年月が経っても、愛情は変わらないのね。それに若さを保とうとする心を持ち続けて、まだ情熱を持ってバスケの試合を見に行くなんて」海野桜は感慨深げに言った。
東山裕は書類の山から顔を上げ、軽く微笑んだ。「君が好きなら、今夜僕たちも行こうか」
「今度にしましょう。今はこのままで十分幸せよ。将来、私たちに息子ができたら、彼が大きくなったら一緒に行きましょう!」海野桜は憧れを込めて言ったが、東山裕の目に一瞬よぎった暗い影には気づかなかった。
海野桜は自分の空想に浸って嬉しくなり、声を出して笑った。
東山裕は彼女の目尻や眉に表れた幸せを見て、思わず微笑みながら尋ねた。「妻よ、今幸せかい?」
海野桜は大きく頷いた。「幸せよ」
しかしすぐに不安そうな表情になった。「でも、あまりにも幸せすぎるの」
「それが良くないの?」東山裕は不思議そうに尋ね返した。
海野桜は頷いた。「良くないわけじゃないけど、ちょっと不安なの。私があまりにも幸せすぎると、天が私を罰するんじゃないかって心配で…」
東山裕は眉をひそめた。「どうしてそんな風に考えるんだい?」
「だって、世界には不幸な人がたくさんいるのに、私があまりにも幸せだと、天罰が下るんじゃないかしら?」海野桜は話すほどに心配になっていった。「いけない、東山裕、何かしましょう!」
東山裕は驚き、少し警戒した様子で「何をしたいんだい?」
まさか幸せでなくなるために、彼と喧嘩したり別れたりしようとしているのではないだろうか…
「慈善活動をしましょう!」海野桜は提案した。「お金を寄付して、もっと多くの人々を助ければ、天も私たちを許してくれるかもしれないわ」
東山裕はすぐに表情を和らげた。「東山家は毎年慈善活動をしているけど、君がそう思うなら、君の名義でいくらか寄付しよう」
「いいえ、私たち夫婦の名義で!」
「わかった」