東山秀造は一気に鴻野美鈴を抱きしめ、鋭い目で東山輝昭を睨みつけた。
「殺したいなら、まず私を殺せ!」
東山輝昭は首を傾げ、彼に手を下すつもりはないようだった。
彼の銃口は、突然東山裕に向けられた——
「母さん、まずこいつを殺してもいいかな?」彼は薄く笑みを浮かべながら尋ねたが、その口調には確固たる決意が感じられた。
藤原恭子は笑いながら頷いた。「いいわ、彼らの唯一の息子を殺せば、彼らはもっと苦しむでしょうね!」
「やめて!」海野桜と鴻野美鈴が同時に叫んだ。
海野桜は東山裕の前に立ちはだかろうとしたが、彼にしっかりと阻まれてしまった。
しかし、その黒い銃口を見て、海野桜は恐怖に震えた。「東山輝昭、東山裕を殺さないで、彼はあなたの兄さんよ。なぜ人を殺さなければならないの?彼を殺しても、あなたは逃げられないわ!」
東山輝昭は冗談を聞いたかのように笑い出した。「安心しろ、彼を殺しても俺は絶対に大丈夫だ。むしろ彼が死ねば、俺はすべてを手に入れることができる。」
「東山裕、お前の命で彼らの命と交換するが、どうだ?」東山輝昭の目は冷たく、必ず勝つという光を放っていた。
東山裕の漆黒の瞳には、恐怖の欠片もなかった。「本当に?」彼は低い声で尋ねた。
「本当だ。」
「いいだろう!」東山裕は即座に決断した。
もし自分の命で他の人々の命が救えるなら、彼はそうする覚悟があった!
海野桜は目を見開き、止めようとした瞬間、東山輝昭の声が聞こえた。
「死ね、東山裕——」彼はそう静かに言うと、海野桜たちの恐怖に満ちた視線の中、一瞬の躊躇いもなく、突然引き金を引いた……
「やめて!」海野桜は心を引き裂くような叫び声を上げ、鴻野美鈴と東山秀造も恐怖で目を見開いた。
しかし銃声はやはり響き渡った……
東山裕は瞬時に海野桜を押しのけ、弾丸が突然彼の胸に命中した!
鮮血が、一瞬にして噴き出した!
東山裕の体がぐらつき、彼は驚いた表情で東山輝昭を見つめ、その目の奥底に深い光を見た。
そして彼は目を伏せ、一瞬にして地面に倒れ込んだ……
「東山裕!」押しのけられた海野桜はこの光景を見て、全身が爆発しそうな感覚に襲われた!
「裕!」鴻野美鈴と東山秀造も目の前が真っ暗になるような衝撃を受けた。