第172章 - 追跡されていることに気付いて逃げ出した

「本当に誰かが住んでいるのかしら?明かりが全然ついていないわ」

防犯灯が全て消えていたため、ロビンは懐疑的だった。夜遅かったので室内の明かりが消えているのは構わないが、防犯灯まで消えているのは彼の心に疑問を投げかけた。

ダニエルも同様に困惑していた。今回こそハッカーを捕まえられると確信していたからだ。

「地図が示したのはここだ。中に入って確認してみよう」

運転手は上司が危害を加えられることを恐れていた。護身術の訓練を受けていた彼は提案した。

「サー、念のため私が先に入らせてください」

ロビンは運転手を先に行かせる必要性を感じなかった。彼の意図はただハッカーと話をして、自分のために働くよう説得することだけだった。マーラを捕まえるためなら、いくらでも支払う用意があった。

「我々は文明人として入るのであって、スパイとしてではない。ノックをして返事を待つんだ」と彼は拒否し、代わりに提案した。

運転手は従い、最初にノックしたが返事はなかった。もう一度ノックしたが、やはり何もない。三度目のノックでも反応がなかったため、ドアノブを回して中に入った。

暗かったが暖かく、ヒーターが最近まで付いていたことが分かったので、彼は明かりをつけた。

ロビンとダニエルは明かりを見るとすぐに一緒に入った。

「誰かいますか?」ダニエルは叫び始めたが、何も返ってこなかった。エコーも返事もない。

「こんにちは、悪意はありません」ダニエルの後でロビンが言った。人里離れた場所にある小さな居心地の良い家の、小さいが居心地の良いリビングルームを注意深く見回しながら。

誰も応答しなかったが、ダイニングテーブルの上にコーヒーカップがあった。ロビンが触ってみると、生温かく、中身は半分ほど残っていた。

「誰かが最近までここにいたな」と彼は観察し、述べた。

「部屋を確認しよう」とダニエルが提案した。部屋は2つしかなく、ロビンが1つを、ダニエルがもう1つを確認し、運転手はキッチンを調べた。

調べても、彼らの興味を引くものは何もなかった。

「私の考えていることが分かるか?」ダニエルが尋ねると、ロビンは答えた。

「追跡されていることに気付いて逃げ出したんだな」

「その通りだ」ダニエルは認めた。自分の努力が水の泡になったように感じながら。