第219章 - 最後の頼み

ロビンは3週間以上不在だったペントハウスに到着した。外見は何も問題なかった。

警備員たちは全員持ち場で警戒していた。

ノックせずにドアを開けようとしたが、中から鍵がかかっていたのでノックしたが返事はなかった。

中から音楽が聞こえてきて、あの悪女が中にいることがわかった。

運転手から、ゼイラはここ2日間外出しておらず、食事や食料品の注文もしていないと聞いていたので、ドアに鍵がかかっている理由も理解できた。

夜遅くだったが、ゼイラがドアを開けた時、ペントハウスから流れる音楽にロビンは驚いた。彼女はホットパンツとお腹の見える袖なしシャツを着ていた。

音楽の音と汗ばんだ様子から判断すると、ドアを開ける前にエアロビクスダンスをしていたのは明らかだった。

ドアにいるロビンを見た時、彼女は衝撃を受け、部屋に走って行って服を着替え、偽の妊婦パッドも付けた。

ロビンに平らなお腹を見られたのではないかという不安が彼女の心を覆った。

前回オフィスに行った時は偽の妊婦パッドを付けていたが、時間が経っているので、ロビンが忘れているか気付かなかったことを願った。

以前のロビンなら質問したはずだが、今のロビンは気付いていることを悟られたくなかったので何も言わなかった。

リビングルームを歩き回り、リモコンを手に取って音楽を消した。

驚いたことに、全てが整然としていた。これは、厳しい状況下でも人は変われるということを示していたが、それは塩になるかシアバターになるかによって大きく異なる。

ロビンは、ゼイラが最低限の予算でも自分を幸せにする方法を見つけ出したことに驚いた。

もっとも、それは彼女が期待しているお金のためかもしれない。家が散らかっていて問いただしたら、彼女は何と言うだろうか?

全てにおいて、ロビンを怒らせたのは彼女の幸せそうな様子だった。

サブリナにあんなことをしておきながら、どうしてあんなにも幸せで陽気でいられるのか?

妻を失った痛みと孤独に苦しんでいるのはロビンだった。

復讐の思いが彼の心を温め、座ることもせず、彼女が戻ってくるのを待った。

自分の金で買った家なのに、そこに幽閉した悪女のせいで他人の家にいるような気分になるのは皮肉なことだったが、それもすぐに変わるだろう。