「マーティンは駐車場にいる」
デビンが何か言おうとした時、ロビンはイヤホンを彼の耳に近づけた。
彼はマーティンにデビンの声を聞かせたくなかった。状況を知っていることがバレてしまうからだ。
「聞こえたか?来るのか?うなずくなり何かして、聞こえてるって教えてくれ」マーティンがイヤホン越しに叫んでいたので、デビンは咳払いをしてロビンにうなずき、講堂を出て行った。
彼は怒り心頭といった様子だったが、ロビンは肩をすくめるだけだった。結局、彼が悪者として知られているのだから。
マーティンに関することについては、デビンが一番上手く対処できた。彼自身もマーティンと彼の姉の邪悪さの被害者だったからだ。
ロビンはデビンと話す時、その男に背を向けていたので、男はデビンがどこへ向かったのか分からなかった。
ロビンはデビンが十分離れるのを確認してから、疑いを避けるためにイヤホンを男に返しながら言った。
「名前を言い忘れましたね」
「リッチ・フロストです」男は偽名を告げたが、ロビンは名前には興味がなく、ただ時間稼ぎをしていただけだった。
「身分証は?」ロビンが尋ねると男は汗を流し始め、ロビンは彼が名前について嘘をついたに違いないと理解した。
「分かりました、プレゼントを持ってきてください」ロビンはボディーガードに男から目を離すなと合図を送った。偽名を使ったために身分証を提示できなかったことで、確かにマーティンの手下だと確信したからだ。
リッチ・フロストがボディーガードと共に立ち去るとすぐに、ロビンは将軍のテーブルに向かい、空いている椅子の一つに座って言った。
「おじさん、14番テーブルの男たちを見張っておいてください。彼らは全員特殊なワイヤレスイヤホンを付けていて、マーティンと連絡を取り合っているような気がします」
マーティンの名前を聞いて、将軍の怒りが沸騰し、マチルダは親友を守るような気持ちでサブリナのテーブルへと席を外した。男たちは話し合いを続けた。
「あいつはここにいるのか?」将軍はマーティンのことを指して尋ね、コビーは突然不安に襲われた。
マーティンのサブリナへの執着は、マーラの彼への憎しみと同様に、彼を怖がらせた。