午後4時、ベラは出かける準備ができていた。トリスタンと午後7時に会う前に、モーグル・メガモールで買い物をするため、早めに到着する必要があった。
しかし、1階に降りる前に、ダックスが同時に部屋から出てきた。
ベラは、目をこすりながら自分の方に歩いてくる息子を見て驚いた。
「あら、赤ちゃん...お昼寝してると思ってたのに。どうして起きちゃったの?」ベラは近寄って、彼のぽっちゃりした手を取った。2階のリビングルームにあるソファまで連れて行った。
寝起きの彼の愛らしい姿、乱れた黒髪を見て、ベラは微笑んだ。
「寝すぎちゃった、お母さん...もう眠くないの」ダックスは母親を見つめながら、かすれた甘い声で言った。
ダックスは、母親がめったに着ない服を着ているのを見て驚いた。
彼女は白いタートルネックにスキニージーンズ、肩にはカーキ色のトレンチコートをかけていた。普段は結んでいる美しい黒の波打つ髪が、今は背中に美しく流れていた。まるで天使のように、彼女は魅力的だった。
今の母親の美しい姿を見て、ダックスは心配になった。
「どこかに行くの、お母さん?」ダックスは、自分を置いていかれるのではないかと心配して尋ねた。
「ええ。ちょっと行かなきゃいけないところがあるの...」
「どこ?僕を連れて行かないの?」彼は落胆して尋ねた。
「赤ちゃん、ごめんね...あなたがそこを嫌いだから、誘わなかったの」ベラは微笑んだ。息子がスーパーマーケットやショッピングセンターに行くのを嫌がることを知っていた。彼は混雑した場所が嫌いだった。
ダックスは眉をひそめた。
「スーパーに行くの?」
「いいえ。ショッピングモールよ。私の服と、あなたの服も必要なの。もし一緒に来たいなら—」
「いいえ、結構です。行ってきて、お母さん...でも、ケーキかおいしいものを買ってきてね」ダックスは、大好きなチョコレートケーキを想像しながら、目を輝かせて言った。
ベラは微笑んだ。食べ物の話をする時の彼の愛らしい様子を見るのが楽しかった。
彼女は手で彼のぽっちゃりした頬を包み、優しく額にキスをした。
「ダックス、あなたの好きなケーキを買ってくるわ。続けて寝てもいいし、ノーラおばさんと遊んでもいいわよ」
****
ベラはダックスを部屋まで送り届けた後、すぐに階下へ向かった。