029 星を見る

住吉おばさんの好意を断ることなく、矢崎粟たちは喜んでおばさんの家で夕食をとることにした。

矢崎美緒たち四人を呼ぶかどうかについて、おばさんは少し迷っていた。結局、他の四人とはあまり親しくないし、そんなに多くの食事も用意していなかったからだ。

矢崎粟は、他の四人はすでに食事を済ませているので、気にしなくていいと言った。

住吉おばさんが言ったように、地元の特産品を用意してくれて、みんな楽しく食事をした。食後、おばさんの後片付けを手伝おうとしたが、全て断られてしまった。

最後にみんなで相談し、しばらくしたら自分たちも料理を作って、おばさんと息子さんを招待することに決めた。

夕食後、制作チームからは特に課題は出されず、その時間は自由に使えることになった。

昼間に交換したテントのことを思い出し、矢崎粟はみんなに提案した。「昼間、星を見たいって言ってたでしょう?今日は天気もいいし、見に行かない?」

森田輝は空を見上げた。太陽はすでに姿を消し、まだ完全な暗闇ではないものの、三日月と数個の星が見えていた。

今日の作業で体中が痛くて家に帰りたかったが、スマートフォンもテレビなどの娯楽もない家に帰っても特にすることもない。しばらく考えた後、彼女はうなずいた。

「うん、今でしょう。全部で7日間しかないし、明日もこんないい天気とは限らないしね。」

「そうだね。疲れてるけど、充実感もあるし。じゃあ、テントを取りに帰って、今日作業してた河原に行こう。」と矢崎粟が言った。

「あそこなら村からも遠いし、少し声が大きくなっても誰の迷惑にもならないけど、暗すぎないかな。」森田輝は河原を思い浮かべた。確かに環境はいいけど、夜は真っ暗で少し怖いかもしれない。

小島一馬は少し考えて言った。「テントにライトが付いてるよ。さっき受け取った時に確認したんだ。でも、電源を差す場所がないんだよね。」

「じゃあ、行けないじゃん。」キャンプを考えた時の興奮が失望に変わったが、矢崎粟は受け入れる力が強かった。今回ダメなら、次は準備をしっかりしよう。思いついたことは一度は実践しないと。

「残念だね。せっかくこんなゆっくりできる時間があったのに。」森田輝も落胆した。友達と一緒に夜空を見上げることができるのを楽しみにしていたのに。

みんな黙り込み、足取りも重くなった。