055 偽善

【金持ちの優しさって、矢崎粟がよくこんな表現を思いついたわね、笑っちゃう】

【小島一馬がお婆さんに米や油を持って行くと思ったけど、まさか新しい家を贈るとは】

【お婆さんの家にこんなにたくさんの物が増えたなら、玄関のドアも取り替えた方がいいんじゃない？】

【私もそう思う。小島一馬にお願いして、お婆さんの玄関のドアを取り替えてもらいましょう。あのドアは脆そうで、矢崎粟の蹴りに2回も耐えられないでしょう】

【玄関の横に、まだ取り付けていない新しいドアがあるみたい】

コメントは小島一馬のイケメンで優しい性格や、矢崎粟の戦闘力の高さを褒めていたのに、突然誰かが和やかな雰囲気を壊しに来た。

【イケメンで優しい？私には金持ちの見せびらかしにしか見えないわ！お婆さん親子は元々生活が苦しいのに、わざわざ人の家に食事に行って。最後には感謝の名目で家をリフォームして家電を贈り、人の前で金持ちぶりを見せつけて帰るなんて、本当に気持ち悪い！】

【お婆さんは日中ずっと畑仕事をしていて、家にいる時間なんてないから、これらのことを知るはずがない】

【小島一馬は本当に話題作りに底がないわ、勝手に人の家に入って善意を押し付けるなんて。これが小島グループの後継者？本当に吐き気がする】

なぜか、小島一馬がネットユーザーにこのように言われても、彼のマネージャーや小島グループの広報チームは介入せず、このような中傷を放置していた。

矢崎若菜と矢崎美緒が群衆に批判されるのを見るたびに、矢崎家は水軍を雇って二人を無脳に褒めたり、矢崎粟を皮肉ったりするのに、矢崎弘はすぐに広報を動かして弟妹のイメージを守るのに。

みんながまだ驚いている間に、剛士と祖母がキッチンから声を聞いて出てきた。二人の後ろには、スーツを着ているのにピンクのエプロンをした男性が続いていた。

「小島若様」その男性は小島一馬に挨拶した。

小島一馬は彼に微笑みかけた。「林秘書、お疲れ様です」

「小島若様、お気遣いなく。今回の支援プロジェクトは元々私の担当でしたから、むしろ仕事の完遂にご協力いただき、感謝申し上げます」林秘書は首を振り、麺棒を持ってキッチンに戻り餃子の皮を伸ばそうとした。「今日はお婆さんが皆に餃子を作ってくれるので、私は戻って手伝います」

小島一馬は頷いた。