089 疑惑の種

矢崎美緒はお粥の茶碗を見た瞬間、大変なことになったと悟り、急いで卵麺を置いて、焦りの表情で眠っている矢崎若菜を起こしに行った。

「お兄ちゃん、お兄ちゃん、こんなに早く食べちゃダメって言われてたでしょう?どうしてママの言うことを聞かないの?いつも自分の健康を使って反抗するようなことをして...!」

ぐっすり眠っていたのに突然揺り起こされて呼ばれた矢崎若菜は、ぼんやりとしたまま起き上がった。何が起きているのか理解する前に、矢崎美緒の矢継ぎ早の言葉に呆然としてしまった。

「お兄ちゃん、具合悪くない?」矢崎美緒は焦った声で尋ねた。

「ないよ、美緒。どうしたの?」矢崎若菜は首を傾げて疑問そうに彼女を見た。

矢崎若菜が余計なことを言わないのを見て、矢崎美緒はほっと胸をなでおろした。「大丈夫でよかった、よかった。お兄ちゃん、次は今日みたいにわがまましちゃダメだよ。もしまた食あたりになったらどうするの?これからは私が先に食べて大丈夫なのを確認してからにしよう!」