矢崎正宗も配信を見ていて、小林美登里の不満を聞いた後、冷たい声で言った。「忘れないでくれ。矢崎粟はとっくに矢崎家と縁を切っているんだ。私たちとは別の家族なんだから、矢崎家の面子を立てる必要なんてないんだ」
認めざるを得ないが、矢崎粟のこの一手は矢崎正宗も感心せざるを得なかった。
さすが矢崎家の子供だ。勇気と知恵を兼ね備えており、矢崎粟は全てを適切に準備していた。
この録音を、矢崎粟は早くから保管していたのだ。
彼女は適切なタイミングを待っていただけだった。三男が番組の放送開始直後に、録音を公開する機会を与えてくれるとは思わなかった。さらにこの回は最終回で、視聴者数も膨大だった。
矢崎粟は天の時、地の利、人の和を掴んでおり、矢崎家は今回負けても惜しくなかった。
録音を公開したことで、バラエティ番組の出演枠が誰のものだったのかを明らかにしただけでなく、矢崎粟の矢崎家での立場も衆目に晒すことになった。