二人は個室に入り、店の看板メニューのお酒を注文して、窓際に座って飲み始めた。
窓からは1階のステージがちょうど見えた。
眺めは悪くない。
二人は曲をリクエストし、心地よい音楽に耳を傾けた。
しばらくすると、一行がバーに入ってきて、1階の席に着いた。
ちょうど矢崎粟たち二人の視界に入る場所だった。
この数人は皆顔なじみだった。
矢野朱里は驚いて矢崎粟に尋ねた。「粟、彼らが来ることを知っていたの?」
テーブルの主な四人は、森田廣とその噂のある女性部下、それに矢崎美緒と従兄の小林瑞貴だった。
他にも大勢の金持ちの若者たちが付いてきていた。
矢崎粟は少し笑って、「彼らは彼らの酒を飲めばいい、私たちは私たちの酒を飲めばいい、邪魔にはならないわ」と言った。
そう言って、彼女は笑顔でその一行を見つめた。