矢崎美緒は嬉しそうに笑うと、すぐに矢野夫人に電話をかけた。
電話がつながると、矢崎美緒はバーで起こったことを話し、矢崎粟の悪口を散々言った。
澤蘭子はそれを聞いて、矢崎粟を憎々しげに罵った。
二人は散々罵り合った後、やっと気分が少し良くなった。
続いて、矢崎美緒は吉祥の気を持つ法器が必要だと話し、矢野夫人に一つ借りてくれるよう頼んだ。
澤蘭子は「問題ないわ。どこにあるか知ってるから、すぐに借りてくるわ」と言った。
矢野朱里のところに良いものがたくさんあることを思い出し、この機会に少し持ち帰ろうと考えた。
矢崎美緒はほっとして、「矢野夫人が一番優しいって知ってました。両親よりも優しい。私が夫人の娘だったら、きっとすごく幸せだったでしょうね」と言った。
澤蘭子は嬉しそうに笑って、「あなたは私の一番のお気に入りよ。もちろん助けてあげるわ。待っていなさい。遅くとも明日には持っていくから」と言った。
二人はしばらく話をして、やがて通話を終えた。
矢崎正宗は社長室に戻った。
実は会議など全くなく、秘書があんなことを言ったのは、オフィスの人々を追い出して、場所を空けるためだった。
矢崎正宗はパソコンの前に座り、秘書に「矢崎美緒とあの二人の道士との関係を調べてくれ」と言った。
秘書は承諾して、オフィスを出て行った。
矢崎正宗もパソコンを開き、今日の仕事を始めた。
リビングにて。
矢崎粟は動画を閉じ、パソコンを閉じた。
矢野朱里は首を振って、「矢崎社長は長年社長を務めているだけあって、やはり深い考えを持っているわね。彼も矢崎美緒を疑い始めたみたい」と言った。
矢崎美緒が帰る前は慈愛に満ちた表情を見せていたのに。
秘書と二人きりになった途端、表情は冷たく無情になり、密かに矢崎美緒を調査させている。
矢崎粟は少し笑って、「さすが長年会長を務めてきただけあって、不思議ではないわ。矢崎グループはここ数年良い発展を遂げているそうだし」と言った。
矢野朱里は頷き、思案げな目つきで「矢崎美緒と吉村久真子は本当にあの二人の道士と関係があると思う?」と尋ねた。
矢崎粟は「もちろんよ。佐藤大師はすでにかなり明白な態度を示していたわ」と答えた。
最初は貸さないと言っていたのに、矢崎美緒たちの痛みが増したとき、佐藤大師は躊躇した。