「ふぅ!」
一声の後、矢崎粟は監視カメラを見た。
オフィスの中。
森田廣は玉の瓢箪を渡し、「大師様のご助力に感謝いたします」と言った。
彼は森田家のコネを総動員して、自分のために新しい法器を探すつもりだったので、特に未練はなかった。
矢崎美緒は玉佩を握りしめ、名残惜しそうな表情で「佐藤大師様、もう少し身につけさせていただけませんか?体調が良くなってからお返しします」と言った。
彼女は本当に返したくなかった。
しかし、この行動で小林瑞貴と矢崎正宗の同情を引きたかった。
佐藤大師の目に光が宿り、「申し訳ありませんが、法器の貸し出しは規則で禁止されています。矢崎さんがご入用でしたら、別の法器をお探しになることをお勧めします」と言った。
矢崎正宗の表情が曇った。
彼は「美緒、法器を返しなさい」と言った。