554 心配する必要はない

矢崎政氏はため息をつきながら首を振った。「おじいちゃん、おばあちゃん、母を叱ったところで、母は自分のやりたいようにするだけです。頑固で強情な性格だから、一度決めたことは変えられないんです」

小林潤は孫たちの話を聞きながら、三兄弟が小林美登里に対して抱いている怒りと苛立ちを感じ取った。

このまま続けば、孫たちも矢崎粟のように家族との関係を絶ってしまうかもしれない。

それは小林潤が最も見たくないことだった。

澤田霞も心配そうに言った。「本当に大変だったわね。おばあちゃんが必ず公平にしてあげるから、安心して!絶対に美登里にあの妖女を追い出させるわ」

矢崎美緒こそが妖女で、小林美登里を手玉に取っていた。

矢崎政氏は暗然と目を伏せた。「もういいです、おばあちゃん。私たちはもう慣れました。母が本当に矢崎美緒を気に入っているなら、私たち兄弟はもう口出しできないし、しません。母の好きにさせましょう」

彼はこの言葉で一歩引いて二歩進もうとしていた。

おじいちゃんとおばあちゃんに動いてもらって、矢崎美緒を矢崎家から完全に追い出してほしかった。

澤田霞は即座に怒り出した。「そんなことあり得ないわ!実の息子たちを邪険にして、養女を可愛がるなんて道理が通らないわ。あなたのお母さんはひどすぎる。今日中にあの妖女を追い出させるわ!」

そう言うと、彼女は携帯を取り出して電話をかけようとした。

矢崎政氏は内心喜び、今度こそ矢崎美緒が追い出されることを密かに祈った!

小林潤も冷たい声で言った。「そうだ、一刻も早く。今日中に追い出さないと、お前の母さんが矢崎美緒にどんな風に騙されるか分からないからな!」

病室には小林瑞貴の件もあり、今日は皆揃っているから、一緒に解決できる。

部屋の中。

矢崎美緒は椅子に座り、小林美登里にフェイスマスクを当てていた。

彼女はお世辞を言った。「お母さん、本当に天性の美人ですね。お肌は私よりもみずみずしくて、二人で外を歩けば、まるで姉妹みたいです」

「そんなに大げさじゃないわよ」小林美登里は心の中で喜びながら、手鏡で自分の顔を覗き込んだ。

呪虫が移されてから、彼女の気分はずっと良く、日常の排泄も順調で、お腹も少しずつ小さくなってきていた。

すべてが良い方向に向かっていた。