矢崎政氏はため息をつきながら首を振った。「おじいちゃん、おばあちゃん、母を叱ったところで、母は自分のやりたいようにするだけです。頑固で強情な性格だから、一度決めたことは変えられないんです」
小林潤は孫たちの話を聞きながら、三兄弟が小林美登里に対して抱いている怒りと苛立ちを感じ取った。
このまま続けば、孫たちも矢崎粟のように家族との関係を絶ってしまうかもしれない。
それは小林潤が最も見たくないことだった。
澤田霞も心配そうに言った。「本当に大変だったわね。おばあちゃんが必ず公平にしてあげるから、安心して!絶対に美登里にあの妖女を追い出させるわ」
矢崎美緒こそが妖女で、小林美登里を手玉に取っていた。
矢崎政氏は暗然と目を伏せた。「もういいです、おばあちゃん。私たちはもう慣れました。母が本当に矢崎美緒を気に入っているなら、私たち兄弟はもう口出しできないし、しません。母の好きにさせましょう」