「そうだ、その方法がいい。彼女の事務所のタレントを抑え込もう」
「矢崎家のタレントの管理をもっと徹底して、干されているタレントたちのメンタルケアをして、彼らに矢崎家への帰属意識を持たせよう。彼らが矢崎家に残る気があれば、矢崎粟は手の打ちようがなくなる」
「業界内の小道具スタッフやメイクアップアーティストなどと連携を深めて、矢崎粟の事務所のタレントに対抗させよう」
社長室内で、皆が次々と熱く議論を交わし、矢崎粟の事務所を東京から一掃したいと願っていた。
鈴木大翔は満足げに頷き、そのように実行することを決めた。
彼は矢崎粟が助けを求めてくるのを待っていた。その時こそ、思う存分嘲笑い、数人のタレントを与えて、矢崎家でマネージャーをさせるつもりだった。
三日後。
矢崎粟は小島一馬に電話をかけ、その日に会う約束を取り付けた。
小島一馬は興奮して、何着もの服を試着してから、やっと上機嫌で車を走らせた。
レストランに着いた時、矢崎粟はすでに到着していた。
彼女が笑顔で見つめてきて、小島一馬の耳が赤くなった。
彼は満面の笑みで矢崎粟の方へ歩み寄り、途中で買ってきた小さなケーキをテーブルに置いた。
「粟、君の大好きなケーキだよ。たまたま通りかかったから買ってきたんだ」小島一馬は視線を少し逸らしながら言った。
実は、このケーキは彼が特別に買いに行ったもので、矢崎粟の今日の気分を茜くしたいと思っていた。
矢崎粟は頷き、笑顔で「ありがとう、とても嬉しいわ」と言った。
ケーキは桜色で、上に桜の飾りが施されており、芸術的で美しく、彼女が最も好きなケーキだった。
彼女はバラエティ番組で一度食べただけだったのに、小島一馬が覚えていてくれたことに驚いた。
矢崎粟はバッグから箱を取り出し、笑顔で言った。「これは私が暇な時に彫った護身法具よ。身につけていれば、災いを防ぎ、良い運気を呼び込んでくれるわ」
彼女は箱をテーブルに置き、押し出した。
箱は起毛した生地で覆われており、とても高級に見えた。
小島一馬が開けてみると、彫刻が施された玉佩が入っており、古典的な模様が美しく刻まれていた。