625 家庭不和

「ふん、私から見れば、矢崎美緒は養女なんかじゃなくて、矢崎家と小林家の童養媳で、兄弟たちの玩具にすぎないわ」

「気持ち悪い、吐き気がする!」

このバーで小林瑞貴が矢崎美緒を抱きしめている写真も話題になり、動画と並んで掲載された。

コメント欄では、二つの動画に対して矢崎美緒への非難の声が溢れていた。

彼女は誰からも蔑まれる存在となった。

多くのまとめサイトも矢崎美緒の過去の写真や動画を編集して短い動画を作り、各アプリに投稿してネットユーザーの話題の種にしていた。

わずか2時間で、矢崎美緒の一件は誰もが知るところとなった。

間もなく、東京の上流社会全体でこの件について議論されていた。

矢崎美緒と矢崎家の兄弟との関係が倫理に反すると思っていたのに、まさか矢崎美緒が小林家の兄弟とも、こんなにも奔放な関係を持っているとは、本当に目を疑うような話だった。

小林家と親しい多くの人々が、小林悠一と小林昌に電話をかけ、注意を促そうとした。

小林家と敵対関係にある人々は、小林家の人々に嘲笑的なメッセージを送った。

小林家社長室にて。

小林悠一が会社の業務を処理している最中、携帯電話が鳴り続けていた。

何気なくメッセージを見た彼は、突然激怒した。「無礼な、実に無礼な!」

誰かが彼に動画のスクリーンショットとバーでの写真を送ってきたのだ。

小林家の若い二人が、どうして矢崎美緒と付き合うようになったのか?

小林悠一を最も怒らせたのは、その中の一人が彼の長男だということだった!

秘書がドアをノックして入ってきて、今日の話題を小林悠一に見せた。「社長、何か対策を講じましょうか?」

小林家にも独自のPRチームと法律チームがあり、会社として後始末ができる。

小林悠一は険しい表情で、病室の動画をもう一度見て、田中千佳が早くから知っていたのに小林家の者に告げなかったことに気付いた。

矢崎家の二人の若者も知っていたとは、とんでもない話だ!

小林悠一は首を振って言った。「話題から外すだけでいい。他は何もするな」

ネットユーザーが矢崎家と小林家の醜聞を見たいなら、見せてやればいい。小林瑞貴と小林博が恐れていないのなら、彼も止めはしない。

抑えるより流す方がいい。

強硬な措置を取れば、かえってネットユーザーの反発を招くだけだ。