687 両全其美

堀信雄は密かに歯を食いしばり、口を開いた。「道家協会は北西部に事務所が必要でして、小林家の産業下にある景勝地開発区域が丁度良いのです。もし小林家が譲ってくださるなら、道家協会が事務所を建設させていただき、それは双方にとって良いことではないでしょうか」

事務所を建設するとなれば、当然一定の区域を区画する必要がある。

その時、道家協会は霊石のある場所を全て区画し、道家協会の所有とするのだ。

矢崎粟は冷笑を浮かべた。彼女には分かった!

この老いぼれは悪事を重ねてきたが、小林家の機縁を強引に奪えば天道の罰を受ける可能性があるため、回りくどい方法で策を練るしかないのだ。

だからこそ自ら足を運んできたのか。

矢崎粟は悟ったような目で堀大師を見つめ、顔には明らかな笑みを浮かべた。「堀大師、私が若いからといって、言い訳を作って騙そうとしているのですか?残念ながら、私はそれほど愚かではありません」