820 同情を誘う

「粟、早く開けて!矢崎美緒のあの厚かましい女が生配信で同情を買おうとしているわ。早く見て!」矢野朱里は焦って言った。

矢崎粟はドアを開け、矢野朱里を中に入れた。「どんな配信?」

そして、二人は一緒に座り、矢崎美緒の配信画面を見つめた。

画面の中で、矢崎美緒は蝋のように黄色い顔色で、何歳も老けて見え、そばかすがたくさんでき、髪も枯れたように黄ばんでいた。

矢崎美緒は両手を合わせ、視聴者に向かって言った。「私は悔い改めたいんです。皆さん、もう一度チャンスをください。これからの人生を使って、実の両親の罪を償います。これからは良いことをたくさんして、福祉施設に寄付もします。」

コメント欄には、すでに彼女に感動した人が多くいた。

【まだ若いんだから、間違いを犯しても機会をあげるべきでしょう!】

【若い時に誰でも間違いを犯すものよ】

【それは全部矢崎美緒の両親がしたことで、彼女本人は関係ないわ。この態度なら十分でしょう】

【末期の病気なんだから、徳を積みなさいよ!】

【そうよ、若い女の子が可哀想】

【うちの美緒は全てを失ったのよ。仕事も恋も。これ以上何を望むの?】

【可哀想すぎる】

流れるコメントを見て、矢野朱里はさらに怒りを募らせた。

彼女は怒って拳を握り締め、表情を一層険しくした。「矢崎美緒はますます厚かましくなったわね。配信カメラの前で末期の病気だって言ってるけど、粟、本当に病気なのかしら?」

矢崎粟は首を振った。「彼女の相から見ると、まだ長生きできるわ」

「やっぱり!やっぱりそうだったのね!」矢野朱里は歯ぎしりしながら怒った。「どうしてあんなに悪いの?視聴者の前で嘘をついて、同情を買おうとして」

「嘘なら、必ず暴かれるわ。心配しないで。私にはまだたくさんの証拠があるから」矢崎粟は冷静に言った。

全ては彼女の掌握の中にあった。

今、矢崎美緒が高く跳ねれば跳ねるほど、後でより酷く転落することになる。

「本当?私も見たい!」矢野朱里は矢崎粟の手を揺すりながら、嬉しそうな表情を浮かべた。

矢崎粟は集めた証拠の一部を矢野朱里に見せた。

矢野朱里は見終わると、すっきりした様子で「あはは...これからどうやって立ち直るつもりかしら。みんなが同情して可哀想がってる時に、私たちが証拠を出せば、視聴者たちはもっと彼女を憎むわ」