818 運気が流出

矢崎美緒は怒りと悔しさで、部屋に閉じこもったままだった。

以前なら気運が流れ出すたびに、堀首席の屋敷に行って気運を補充してもらえばよかった。

今は堀首席が捕まってしまい、彼女は一人きりになってしまった。

矢崎美緒は長い間部屋にいて、使用人が食事を促しにドアをノックするまで出てこなかった。やっと顔色の悪いまま部屋を出た。

小林美登里はテーブルに座って、矢崎美緒の方を見た。

矢崎美緒を見た瞬間、思わず驚いて「あなたの顔が...」と言いかけた。

残りの言葉は、小林美登里は口にしなかった。

小林美登里は突然、矢崎美緒ががんを患っているのだから、急速に老化するのも当然だと思い至った。もし言葉にすれば、矢崎美緒をより悲しませてしまうかもしれない。

矢崎美緒は口角を引き上げて笑い、食卓に近づいて「ママ、朝ごはん食べましょう」と言った。

小林美登里は急いで「ええ、食べましょう」と答えた。

食事の間、彼女は矢崎美緒のおかずを取り分けながら、ずっと慰めの言葉をかけ続けた。

小林美登里は優しく「たくさん食べなさい。そうすれば体も丈夫になるわ。ママを心配させないでね」と言った。

「ありがとう、ママ」矢崎美緒は頭を下げ、口角には嘲笑が浮かんでいた。

気運が流れ出すのも、悪いことばかりではない。

少なくとも病気のふりをするのにより説得力が出た。

二人は和やかな雰囲気の中で朝食を終えた。

昼も二人で一緒に食事をした。

昼食後、矢崎美緒はついに我慢できずに号泣し始め、小林美登里に重病を患っていて、これからは最後まで面倒を見られないかもしれないと打ち明けた。

小林美登里は「大丈夫よ。ママはあなたが元気でいてくれるのが一番嬉しいの。自分のことをしっかり大切にしてくれればそれでいいの」と慰めた。

矢崎美緒は小声で泣きながらしばらくして、自分の本当の意図を話し出した。「ママ、私、治療費がもうないの。医者が言うには、良い薬にはもっとお金が必要で...ママの面倒を見たいから、お金を使いたくないんだけど...」

彼女は小林美登里にお金を出してもらおうと考えていた。

小林美登里は目を細めて「ママがお金を出すわ。私たちは母娘なのだから。安心して、薬を買うお金に困らせたりはしないわ」と言った。

そう言って、彼女は部屋に入り、カードを持ってきた。