907 不運

矢崎粟は説明した。「矢崎美緒に近づかなければ、恋人煞をかけられる機会はないはずです」

死にたいなら、誰のせいでしょうか?

矢野朱里は思わず笑った。「はははは……あなたたちが矢崎美緒を死ぬほど愛している様子を想像すると、面白くて仕方がないわ」

四人はしばらく相談を続けた。

昼時、矢崎粟は別荘に戻って食事をした。

午後一時半、四人は時間通りに病院に来た。

四人は隣の病室を借り、森田廣の病室に隠しカメラを設置した。

二時。

吉村久真子は時間通りに病室に来た。

彼女は病室に入り、ドアを閉めて、にこやかに言った。「あなた、来たわよ。私のこと、恋しかった?」

隣の部屋で、矢崎粟たち四人が画面に釘付けになっていた。

矢野常は吉村久真子の様子を見て、背筋が寒くなった。「森田廣が彼女に好かれるなんて、本当に不運だな!」