小林博は少し考えて、それもそうだと思った。「君の言うことはもっともだ。じゃあ、どうすればいい?」
吉野柔はにこにこしながら言った。「吉野家には対外交流の部門があるから、私が誰かを海外に送るのは簡単よ。私に任せて!」
彼女の手に落ちたら、矢崎美緒の人生は悲惨なものになるだろう。
彼女は矢崎美緒を麻薬組織に売り飛ばすか、年配の男性の妻にするつもりだった。
とにかく、矢崎美緒を苦しめるつもりだった。
それに、吉野柔は小林美登里にずっと腹を立てていた。小林美登里が客人の前で彼女を平手打ちしたことは、絶対に許せなかった。
彼女はこの件を利用して、小林美登里を思い切り苦しめてやるつもりだった。
小林博はそれを聞いて満足げに頷いた。「やっぱり婚約者は気が利くね。君に任せれば安心だよ」
吉野柔は甘く微笑んだ。
小林博はさらに言った。「先に手続きを進めて、終わったら必要な費用を計算してくれ。その時にお金を渡すよ」
「私にそんなに細かいことを言うの?」
吉野柔は彼を軽く睨みつけ、その後彼の胸に身を寄せた。「もうすぐ結婚するのに、私のものはあなたのものよ。安心して私に任せて」
小林博はそれを聞いて満面の笑みを浮かべた。「ありがとう、柔。君は本当に素晴らしい。君と出会えたのは僕の人生最大の幸運だよ」
彼は吉野柔の態度にとても満足していた。
吉野柔が外の人に少し厳しくても、彼に対して優しく気遣ってくれれば、それでよかった。彼はそれを気にしなかった。
二番目の家系の息子として、彼には会社を継ぐ機会はなかった。
今、吉野柔という婚約者を得たことで、吉野グループの事業に関わることができ、吉野柔には安心して小林夫人になってもらえる。
その夜。
吉野柔はボディガードの一団を連れて、矢崎美緒が住んでいる別荘に向かった。
彼女がリビングに入ると、矢崎美緒がテレビドラマを見ているのが目に入った。にこにこしながら言った。「あら、機嫌がいいみたいね。顔の腫れは引いた?」
矢崎美緒は声を聞いて振り向いた。顔はまだ豚のように腫れていた。
「ハハハハ……」吉野柔は思わず嘲笑した。
矢崎美緒の目には冷たさが宿り、すぐに尋ねた。「何しに来たの?私の惨めな姿を見に来たなら、もう帰っていいわ」
吉野柔はにこにこしながら言った。「私たちの間で清算すべきことがあるわ」