小島一馬は黙り込み、目には喜びが溢れていた。
どうあれ、彼は今、粟と一緒になったのだから、これからの困難に立ち向かうことができる。
息子の嬉しそうな顔を見て、中田織莉子もこれ以上何も言う気にはなれなかった。
彼女は笑いながら言った。「粟のことをちゃんと大事にして、早く粟と入籍できるように頑張りなさい。粟はとても優秀だから、きっと好きになる男性も多いわよ」
彼女の息子も優秀だ。
しかし粟は並外れて優秀だから、息子に少し危機感を持たせる必要もある。
小島一馬は真剣に頷いた。「母さん、わかったよ。女性の視点から恋愛の秘訣を教えてくれない?」
彼は矢崎粟ともっと調和のとれた関係を築きたかった。
この話題になると、中田織莉子は張り切った。「息子よ、ママが言うわ。絶対に儀式感を大切にして、普段の記念日にはプレゼントを忘れないこと」
「うんうん!」
小島一馬は真剣に頷いた。
彼は記録した。記念日にはプレゼントを贈ること。
中田織莉子は続けた。「対立が生じたときは、まず彼女の感情を落ち着かせてから、その問題自体について話し合うこと。常に相手の表情や言葉に気を配るのよ」
「それは理解してる」
小島一馬は力強く頷いた。
今まで、彼と粟の間で対立は起きていなかった。問題が起きれば、彼はいつも最初に粟のことを第一に考えていた。
中田織莉子は滔々と話し続けた。
小島一馬はメモ帳を取り出して記録したいくらいで、一つ一つ学んでいった。
……
リビングルームで。
小林美登里は退屈そうにリモコンでチャンネルを変えていた。突然、彼女は矢崎粟の名前を耳にした。
これは昨夜のスターライト・アワードの再放送のようだった。
司会者が紹介した。「次にレッドカーペットを歩くスターは、新世代のトップアイドルと言われている方です。矢崎粟さんをお迎えしましょう!」
観客たちはみなレッドカーペットの入口に視線を向けた。
カメラもそちらに向けられた。
矢崎粟は白いショートドレスを身にまとい、表情は穏やかで、自然にレッドカーペットを歩いていた。
彼女の目は輝いていた。
全体的な雰囲気は、どこか超然として清らかな感じがあった。
「美しすぎる!」
誰かが声を上げ、それがちょうどカメラに収録された。
小林美登里も得意げに頷いた。