第64章 誰が葉青なのか?

黎少雲の態度は謙虚で、この時は反論せず、むしろ他の学生たちの方が我慢できなくなっていた。

「楊おばさん、実はこれはホテルのせいではありません。すべては葉青が引き起こしたことです。葉青が残り物のスープを甜甜に跳ねかけて、態度も悪かったんです。甜甜が先に帰りたがったのに、葉青が許さなくて、二人が揉み合ううちに誤って甜甜が怪我をしてしまったんです……」他の学生が口を開こうとするのを見て、蔣夏はすぐに代表として説明した。

楊おばさんはそれを聞いて、表情が良くなかった:「誤って?こんなに手荒く、どこが誤ってなの!さっき私たちが来た時に医者に聞いたけど、目はもう少しで駄目になるところだったのよ!それにこの頭から出た血、回復するのにどれだけかかるの?将来傷跡が残ったらどうするの!そうそう、誰が葉青なの!あなたでしょう?」

景雲昭は近くにいて、病室で一番長く過ごし、最も心配そうに見えたため、楊お母さんは目の前のこの少女が彼らの言う葉青だと思い込み、厳しい目で見つめた。

「おばさん、人違いですよ」傍らで、黎少雲が意外にも助け舟を出し、さらに言った:「彼女は景雲昭といいます。もし彼女があなたの娘の目の怪我を最初に処置していなかったら、将来目が使えなくなっていたかもしれません。」

黎少雲は若いながらも威厳があり、生まれつきの色男の顔は今は少し放蕩な雰囲気を抑え、非常に真面目で厳粛な態度に見えた。

楊家のご両親はそれを聞いて、少し呆然とした。

この女の子が娘の怪我を処置したの?そんなことがあり得るのか?

さっき駆けつけた時に医者に聞いたところ、医者は額の怪我は小さな問題で、唯一の後遺症は将来傷跡が残る可能性があるだけだと言った。しかし目は適切な薬を早めに使用できて良かった、そうでなければ失明はしないまでも、物を見る時以前のようにはっきりとは見えなくなっていただろうと。

その時彼らは、ホテルには人が多いから、たまたま親切な医者が助けてくれたのだろうと思っていた。しかし、その親切な人が娘と同じ年頃だとは思いもよらなかった。それにこの名前にも聞き覚えがある、確か娘と同じクラスだったはず?

楊家のご両親は疑わしげに景雲昭を見て、また他の人々を見回すと、他の人々も皆黙って頷いているのを見て、今となっては信じざるを得なかった。