第180章 屈することも伸びることもできる

景雲昭も唐おじいさまが項瑾をこれほど重要視して、自分の大切な孫を直々に迎えに行かせるとは思っていなかった。

唐子華は助手席に座り、バックミラー越しに景雲昭を見た。彼女は夏の影響を受けていないようで、肌は相変わらず白くて瑞々しく、このイライラするような暑さの中でも、彼女のやや冷淡な表情は人の心を落ち着かせるものだった。

「項おばさん、離婚の件は祖父が手配しますから、その時はただ出向くだけでいいんです」と唐子華は少し弱々しい声で言った。

彼の容態は今では普通の人とほとんど変わらないが、やはり体が弱いため、引き続き養生が必要だった。

項瑾は少し緊張して「ありがとうございます」と言った。

彼女はその時あまりにも焦っていて、実は唐社長が助けてくれるとは思っていなかった。確かに父は以前唐社長と親しかったが、もうそれほど年月が経っているのだから。

「どういたしまして。祖父が言うには、感謝すべき相手は景雲昭さんだそうです。彼女がいなければ、唐家は項おばさんが華寧県でそんなに苦労されていたことを知ることもなかったでしょう。そうそう、祖父が項おばさんのために家を用意させました。とりあえずそこにお住まいください。もし後で寧市に戻りたくなったら、祖父に言っていただければ、新しい場所を探してもらえます」唐子華は礼儀正しく、大人のような口調で話した。

景雲昭は、唐子華の表情が少し硬くなっていることに気付かなかった。

最近、祖父は彼の体調が良くなってきているのを見て、よく彼の前で景雲昭を褒めちぎるので、今では景雲昭を見るたびに一種の畏敬の念を感じ、自分はもっと成熟して落ち着いているべきだと思うようになっていた。

だから先ほどの言葉を言い終えた後、唐子華はこっそりと彼女を見やり、景雲昭の視線が窓の外に向けられているのを見て安堵のため息をついた。

景雲昭に長い間治療してもらい、彼女の厳しい表情を何度も見てきたので、彼女に会うたびに両親に会うような気分になる。でも景雲昭は自分と同い年なのに、これは変すぎる!

唐子華は項瑾を用意された家まで送り届け、完璧な対応をした。

一方、秦志學の方は大変な事態に直面していた。