第217章 ラブレター

二人は景雲昭に驚いた目を向けたが、景雲昭は服を返した。「これは受け取れません。返品してください。」

彼女は王新芳に対して遠慮しているわけではなく、ただ単に人の好意に甘えるのが好きではなかった。

もし今、関係が確認されていれば、贈り物のやり取りは当然のことだったかもしれない。しかし、問題は鑑定結果がまだ出ていないことだった。

王新芳は顔を青ざめさせ、よろめきそうな様子で言った。「雲昭ちゃん、お母さんに他意はないの。ただ母親としての責任を果たしたいだけ。これまでの年月、一枚の服も買ってあげられなかった。あなたはちょうどおしゃれを楽しむ年頃だから、お母さんはただあなたを喜ばせたいだけなの……」

そう言いながら、王新芳は袋から服を取り出し、景雲昭に合わせてみせた。「ほら、このワンピースどれだけ可愛いかしら。雲昭ちゃんは肌が白いから、きっと似合うわ……」

服はピンク色で、レースの縁取りがついていた。このような甘めのスタイルは景雲昭には全く似合わなかった。

景雲昭のような容姿と体型なら、どんなスタイルの服でも着こなせるはずだが、彼女の持つ雰囲気は冷淡で、このようなワンピースを着ても見た目は良くても違和感があった。

もしこの服を蘇楚が着れば、むしろ相応しかったかもしれない。

「王おばさん」景雲昭は呼びかけ、続けて言った。「この服はかわいらしい系統なので、おばさんの次女さんにも似合うと思います。だから服はお返ししますね。時間も遅いので、私は授業に行かないと……」

「だめよ、だめ。これはあなたのために買ったの。必ず受け取って……雲昭ちゃん、安心して。二人の妹たちは決してあなたと何かを争ったりしないわ。私がちゃんと話しておくから。鑑定結果が出たら、土日は家に帰って来て。個室も用意してあるから、決して不自由な思いはさせないわ……」王新芳は急いで説明し、さらに続けた。「あなたが成績優秀なのは知っているわ。うちの子の中で一番出来がいいのよ。しっかり勉強して、私は邪魔しないから……」

そう言うと、服を再び景雲昭の手に押し付け、すぐに走り去った。

その慌ただしい後ろ姿は、まるで景雲昭に追いかけられることを恐れているかのようで、蘇楚と甘堇辰は呆然と見つめていた。