この時、甘叔父さんは酒を手に入れて心が随分と軽くなり、落ち着いた心持ちになってから、お爺さんがこの酒を気に入るのも無理はないと思うようになった。
景雲昭のところを離れた後、甘叔父さんは車に乗るなり、こっそりと一口飲んでみた。その一口で腹の虫が騒ぎ出し、目をきらりと光らせると、思い切って何本か余分に抜き取り、お爺さんの前に戻った時には二本だけを差し出した。
一方、景雲昭は自ら御天鮮に赴き、二十本を持って行った。
工場での最初の醸造には、およそ三ヶ月ほどかかる見込みだった。それまでの間、会社の宣伝や販売品は全て彼女が空間から提供することにした。空間の時間は遅いので、それほど時間はかからないはずだった。
しかし欠点もあった。それは量に制限があることだ。そのため、この三ヶ月の間、彼女と白俞安の目標は玉霊酒業の知名度を少しでも上げることだった。
御天鮮では、客が途切れることなく、商売は絶好調だった。
景雲昭は毎日、以前の倍以上の食材を届けていた。
「黎さんが君は薄情だと言っていたけど、まさにその通りだね」杜霖は酒を一口すすり、興味深そうに、しかし黎さんから言われた用件も忘れずに口を開いた。
「どういう意味?」景雲昭は全く理解できなかった。
彼女の困惑した表情を見て、杜霖は舌打ちをし、心の中で黎さんに感服した。
「黎さんは都に戻ったよ。これまでの習慣からすると、来年まで戻って来ないだろうね」杜霖は説明した。
景雲昭の目に驚きの色が浮かんだ。なるほど、だから最近黎少雲からメッセージも電話も来ないわけだ。彼女が試験を受ける前に黎少雲は既に退院していたが、確かにその時は忙しくて、二度ほど食事の誘いを断っていた。最近は時々思い出すことはあったが、あんな大物なら忙しいだろうと思い、自分からは連絡しなかった。
「いつ帰ったの?お酒を何本か贈ろうと思っていたのに。いないなら仕方ないか」景雲昭は何故か安堵のため息をついた。
黎少雲は友人として付き合うのに適した人物で、二人は気が合った。しかし彼女は彼の審査するような眼差しが好きではなかった。
彼は頭が良すぎる上に、年齢的にも優位に立っていて、いつも彼女の考えを見抜いてしまう。そのため、一緒にいる時は、彼女の感情が彼の前では隠しようがなかった。