第307章 負けず嫌い

その店員も限度を知っていて、一言文句を言うと黙り込み、この店で小物を選んで代金を払って立ち去った。

彼女が選んだこの店の女将は通り一番の噂好きで、先ほど聞いた話をすぐに広めてしまい、しかも大げさに騒ぎ立てるのだった。

案の定、その店員が玉霊茶館に戻るのを見ると、女将は居ても立ってもいられず、嬉しそうな顔で通りの知り合いたちに話を広めていった。

蔣家茶樓は以前は繁盛していて、人を見下すような態度だったが、この二ヶ月ほどは徐々に衰退していき、多くの人が失敗を楽しみにしていた。今や蔣家の母子が同業者にこのような仕打ちをしたとなれば、人々の噂の種にならないはずがない。

たちまち、大騒ぎになった。

自分の茶館で儲からないからって、他人の茶館に行って騒ぎを起こすなんて、こういう人は勝つことしか知らず、負けを認められないのだ。

近所付き合いというのは、やはり重要なものだ。

例えば、お茶を飲みたいお客さんがどの店がいいのか分からない時、そんな時にこれらの近所の人たちが役立つのだ。

特に今日のような良い日に、玉霊茶館の開店がこれほど賑やかで、状況を尋ねるお客さんが少なくなかった。

「あの茶館のことですか?開店したばかりですが、中のお茶が美味しいと聞きましたよ。第一茶閣の人たちまでもが得しようと行ったそうです...」といった類の話が、この日は絶え間なく聞こえてきた。

蔣家の母子は自分たちが有名になったことも知らず、まだ真面目な面持ちでお茶を味わっていた。

蔣家はお茶を売っているものの、蔣お母さんは実はお茶が好きではなく、この苦渋な味よりも甘いスープの方が好みだった。

今、目の前に二つの急須が置かれ、顔が緑になりそうなほど飲んでいた。

最も重要なのは、周りの雰囲気がとても奇妙に感じられることだった。

以前彼らの店で接待していたお客さんたちとは様子が違い、表情は緊張気味で、皆正装のスーツを着ており、くつろぎに来たというよりも、何か重要な場に出席しているかのようだった。

「母さん、このお茶全然美味しくないのに、なんでこんなに高いの?」蔣夏は率直に言った。

今回は支払いをしなくて済んでよかった。そうでなければ大損だったところだ。