茶屋の雰囲気が凝固したようになり、楚榮は心の中で景雲昭が早く来てくれることを願っていた。彼は一体今どういう状況なのか知りたくてたまらなかった。
そう願っているところ、大広間が突然ざわめいた。
寧市からの数組の人々が突然立ち上がり、とても息の合った様子で入り口の方へ歩いていった。楚榮は景雲昭が来たのかと思ったが、見上げてみると、一人の老人と十六七歳くらいの少年だった。
「唐様、ようこそいらっしゃいました!お迎えが遅れて申し訳ございません」先ほどのグループの取締役が丁寧に手を差し出し、軽く腰を曲げた。
「ああ、徐くんか。随分と早かったな!」唐様は彼を一瞥し、笑いながら言った。
一方、副市長も近づいてきて、驚いた表情で「唐様、どうして...いらっしゃったのですか?」
「あの娘は私の孫の命の恩人でね。ここのお茶が美味しいと言うから、私も是非味わってみたくなったのさ」唐様はそう言って、中へ進んでいった。
人々は道を開けた。
民は官と争わずと言うが、この唐様は寧市で絶対的な発言力を持ち、数々の事業を手中に収め、豊かな資産を持っている。この金銭至上の時代では、自然と地位も高く、しかも年長者である。
先ほど顔を出した県の部長は口が塞がらないほど驚いていた。彼はもともとこの茶屋は白俞安の事業だと思っていたから、こんなに多くの人が彼に面子を立てているのだと考えていたが、今では全く違う考えに変わっていた!
白俞安がどんなに凄くても、所詮は新興企業の総経理に過ぎず、その財産は在席の人々とは比べものにならない。まして副市長までいるのだ!県長ならまだしも、あれは副市長なのだ!
それに、彼はこの老人を知らなかったが、その威厳は本物で、誰もが唐様と呼び、寧市の富豪・唐林を連想せざるを得なかった。
楚榮は今や麻痺したような状態だった。先ほど白俞安に電話をかけ、これらの人々は彼が手配したのかと尋ねたが、白俞安は彼以上に驚いており、それどころかそれらの名刺を大切に保管しておくように言い、後で自分が取りに来ると言ったのだ!
これらの大物たちは誰でも会えるわけではなく、名刺も誰でも受け取れるものではない。
白俞安がもし一つの茶屋でこれほどの反響があることを早く知っていれば、とっくに景雲昭に頼んで開業していただろう。