第360章 できない

一瞬のことで、孫顏は驚いて数歩後ずさりし、その場に倒れ込んで、全身を震わせながら涙をポロポロと流し始めた。

崔均は真っ先に駆け寄り、そのムカデを見た途端、足がガクガクと震えた。「もう勝負はやめましょう……」

こんなもので勝負なんてできるはずがない。ムカデ?従姉にこんな武術を調合させるなんて?こんなものは他の人にやらせればいいじゃないか?崔家には大勢の従業員がいるのに!

しかし崔占先は即座に言った。「だめだ!勝負は続行する!」

今ここで一か八かの勝負に出れば、後の二戦で勝てるかもしれない。そうすれば引き分けとなり、息子の将来にも影響が出ないはずだ!ここまで来て引き下がるなんて、そんな道理があるものか?

それに、ただのムカデじゃないか?ここにいる薬剤師たちで、誰一人として経験がない者などいないだろう?他の人ができて、なぜ孫顏にはできないというのか?