第397章 大物だった

洪天と隣の乗馬場から一緒に来た人は少なくなかった。彼らも抜け目のない人たちで、唐様がそう言ったからには、明らかに景雲昭の味方をするつもりだった。

洪天は頭を抱え、突然どう切り出せばいいのか分からなくなった。

彼がまだ言葉を整理できないうちに、唐様がまた言った。「陸副市長、私たちの雲昭ちゃんが先ほど、この洪家のお嬢様が鞭を振るって人を傷つけたと言いましたが、これは重大な問題です。調査するなら、ここにいる全員を連れて行って一人一人尋問し、もし嘘をついたり隠したりした場合は、しっかりと批判教育をしなければなりませんね？」

陸副市長は微笑んだ。この案件は彼の管轄外だったが、少しばかりの助言はできた。

「唐様のおっしゃる通りです。景お嬢様、何か不満があれば陸叔父さんに遠慮なく言ってください。私がきちんと対処しますから」と陸副市長も言った。

ほぼ瞬時に、洪天は全身に鳥肌が立つのを感じた。

これはどういう状況なのか？

白俞安は景雲昭を妹だと言い、唐おじいさまは景雲昭を雲昭ちゃんと呼び、まるで実の孫娘のように接している。さらには陸副市長までもが景雲昭に優しく接している！？

他の人々もそれを見て、心の中で警戒心を抱いた。

すぐに誰かが言った。「実は...実は私は景雲昭が石を投げるのを見ていません。むしろ洪お嬢様の方が、あの鞭を鳴らして振るい、その時馬が暴れ出して、景お嬢様が助けに入らなければ、馬上の少女はきっと重傷を負っていたでしょう」

この発言をした人物は、当然ながら洪雯より家柄が劣らない人で、先頭を切って発言する勇気があった。

そして彼女の父親は傍らで満足げに頷いていた。

今や誰が景雲昭を庇う勇気があるかを見守っている。景雲昭の味方をすることは、陸副市長と唐おじいさまの機嫌を取ることになる。特に最初に発言した人は、唐おじいさまにも覚えてもらえるだろう。

案の定、唐様がその方向を見て、慈愛に満ちた目つきで言った。「これは劉家のお嬢様かな？一目で育ちの良い、品のある子だと分かりますね」

発言した女性は顔を赤らめた。

彼女はずっと話したかったのだが、むやみに発言すれば洪家と敵対することになり、家族に迷惑をかけたくなかった。しかし今は違う。この景雲昭こそが敵に回してはいけない相手なのだ。

この女性が口を開くと、他の人々も黙っていられなくなった。