第441話 同級生?

ボールはそれほど大きくなく、ただの革製の小さなおもちゃに過ぎなかったが、突然のことで老婦人を驚かせてしまい、お年寄りは地面に転倒し、周りの家族は慌てふためいた。

このことは景雲昭とはあまり関係なかったが、彼女は医師であったため、歩み寄って様子を見に行った。

老婦人の状態はそれほど深刻ではなく、ただ突然の転倒により、腰を痛めたようだった。

「君、どういうつもりだ?お年寄りがいるのが見えなかったのか?こんなものを路上で遊んでいいと思うのか?」老婦人の傍にいた男性が、いきなり怒鳴り始めた。

景雲昭は驚いて、自分を指差し、苦笑いしながら「私のことですか?」と言った。

「君以外に誰がいる……」

「すみません、物を投げたのは私ではありませんし、私もおばあさんと同じく被害者です。ただ私の方が運良く避けられただけです」と景雲昭は丁寧に説明した。

相手は一瞬戸惑い、最初に近寄ってきた女性が物を投げた本人ではないとは思っていなかった。

彼らは家族で買い物に出かけており、年末年始で人が多く混雑していたため、子供を見失わないように気を配っていた。そのため、老婦人にはあまり注意を払っておらず、どのように転倒したのかも分からなかった。

ただ地面にボールが転がっており、この女性が急いで近づいてきたのを見たため、反射的に叱りつけてしまったのだ。

景雲昭の説明が終わると、物を投げた本人も近づいてきた。ただし、表情は慌てており、おそらく金銭を要求されることを恐れているようだった。

「大丈夫ですか?このボールは柔らかいので、当たっても痛くないはずですが……」その女性が近づきながら、少し心配そうに小声でつぶやいた。

その女性の隣には背の高い男性が立っており、すぐさま「お正月なのに、金を脅し取ろうとしているんじゃないですか?」と言い放った。

最近では詐欺の手口が次々と現れており、あんなに健康そうな老婦人が突然倒れるなんて、誰が信じるというのか?

景雲昭は眉をひそめた。この女性はどこかで見覚えがあるような気がした。

相手は加害者のその言葉を聞いて、すぐに表情を曇らせた。「あなたたち、なんてことを言うんですか!私たちはあなたたちに何もしていないのに?突然物を投げられたら誰だって驚くでしょう?まして年配の方なら尚更です!」