第465章 ドライブ

突然の暖かさが伝わり、景雲昭は思わず首を縮めた。黎少雲の言葉は少し生意気だったが、このマフラーは確かにふわふわで心地よかった。

一方、杜霖は呆れ果てていた。黎さんとこんなに長い付き合いなのに、自分にはお返しの品を一つもくれたことがないじゃないか。

それに、これは見栄を張って自分を苦しめているんじゃないか？明らかに景雲昭の機嫌を取りたいのに、わざと脅すような態度を取るなんて、まるで...子供じみている。

景雲昭だって馬鹿じゃない、黎少雲の好意は当然分かっていた。

「本当にこのマフラーをつけて外を歩くつもり？」景雲昭は少し恥ずかしそうに尋ねた。

黎少雲は眉を上げた。「いけない？」

景雲昭は黙って俯いた。もし黎少雲が本当に身につけると分かっていたら、もっと手間をかけて、人前に出せるようなものを編み直したのに。今の黎少雲を見ていると、首に昆布をぶら下げているみたいで、どこか場違いな感じがした。

ただし、黎少雲は体格が抜群で、顔立ちも優れていたため、昆布でさえも彼が身につけると高級ブランドのような既視感を醸し出していた。

まあいい、彼が気に入っているなら、自分が悩む必要もないだろう。

「黎さんはいつ都に戻るんですか？」景雲昭は話題を変えて尋ねた。

黎少雲は彼女を見下ろし、目をそらしながら「当ててごらん」と言った。

そう言うと、彼女を車に引っ張り込んだ。「さあ、ドライブに連れて行ってやる」

景雲昭は後部座席に押し込まれ、すぐに黎少雲も乗り込んできて、彼女の隣に座った。杜霖はそれを見て、今日は運転手役を務めることになったと悟り、黎さんを不満げに見つめた。

しかし、景雲昭の年齢を考えると、杜霖は自分を慰めずにはいられなかった。

もし黎さんが本当に景雲昭に惚れたとしても、すぐに思い通りにはならないだろう。たとえ景雲昭が彼のことを好きになったとしても、ある面では、黎さんは二、三年は我慢しなければならないはずだ。

手に入れたとたんに食い散らかすようなことをしたら、それはあまりにも野蛮すぎる！

杜霖は黎少雲というこの熟年独身男性の欲求不満な様子を想像して、こそこそと笑った。しかし笑い終わるや否や、背後から冷たい視線を感じ、ぞっとして「黎さん、どこへ行くんですか？」と尋ねた。

「寧市だ」と黎少雲は直接答えた。