黎少雲は憂鬱になった。景雲昭が軽い態度を見せれば見せるほど、事態は深刻だと感じた。しかし、この時点で彼女を脅すわけにもいかないし、そもそも脅しても無駄だった。景雲昭はそういうのには全く動じないのだから。
たとえ行けば本当に何か起こるかもしれないと告げても、きっと彼女は意志を固めて聞く耳を持たないだろう。
「黎さん、あなた犬年生まれ?」
「でも、もし私が戻ってこなかったら、私の両親を探してくれない?もし私に会えたらそれでいいけど。それと、私の部屋にカードがあるの。労務費として、これまでの謝礼としてあなたに渡すわ。暗証番号は私の机の上の本の中に隠してあるから、見つけられるかどうかはあなたの腕次第よ」と景雲昭は続けた。
その言葉を聞いた黎少雲は、「パチン」という音と共に電話を切った。