第529話 殺してなんかいない!

法医は景雲昭の大胆さを見て、わざと脅かすように声をかけたが、彼女は先ほどと同じような表情で、多少の衝撃を受けながらも冷静さを保っており、心の中で感心していた。

この娘は彼らの仕事に向いているな……

景雲昭は法医が何を考えているのか知る由もなく、ぐるっと回った後、鐘清の方向へ歩み寄った。

鐘清の傍らには警察官が見張っていた。共犯者の疑いがあるため、彼女を呼んだのは全ての遺体の位置を確認するためだったが、明らかに鐘清は何の役にも立っていなかった。

鐘清の罪状は実はそれほど重くなかった。事件全体に彼女は全く関与しておらず、二人の弟に蘇楚を誘拐するよう通知したのも電話を通じてだけだった。さらに、彼女は景雲昭を尾行していないし、犯行現場も知らなかったため、せいぜい知情不報罪程度であり、しかも彼女が知っていた状況は爆発事件や殺人事件ではなかった。