第539章 この仕事をしないのはもったいない

趙慶の顔に一瞬嘲笑が浮かんだが、あっさりとお金を支払い、鐘清は更に真剣に借用書を書き、一字一字丁寧に、まるで誰かに返済の決意を疑われることを恐れているかのようだった。

翌日、鐘清は数着の服を買いに行き、上着から下着まで数セット、それにバッグや靴も加えて、六、七千元を一気に使ってしまった。

これらを済ませた後、鐘清は新しく髪型を変え、心機一転しようとして、ついでに化粧品や装飾品もたくさん買った。

どれも最高級品というわけではないが、安くもなく、一日が終わる頃には、仕事は一つも見つからなかったが、一万元以上を使ってしまっていた。

鐘清の住んでいる場所は、華寧県のグレーゾーンと言える地域で、怪しげな美容院や、夜間営業の小規模な賭場、さらには違法なプライベートクラブもあり、近くには不良がたくさんいた。

彼女がこの通りに戻ってきて、車を降りたとたん、数人に囲まれた。

強盗だった。

着ている服以外、新しく買ったものすべてと残りのお金は、一瞬にして奪われてしまった。

他の場所では何とも言えないが、この華寧県の裏社会では、景雲昭は自分の言葉が絶対であることを保証できた。「黒魔王」という呼び名は良くないし、男らしい響きだが、この三文字が付くだけで、すべての不良たちは神のように崇め、必ず忠実に任務を遂行した。

鐘清は呆然としていた。彼女が一日かけて買ったものが何一つ残っていなかった。

彼女は刑務所を免れたことで運が向いてきたと思っていたが、むしろ運は悪くなる一方だった。

そして不良たちが去ったばかりの時、また別の男たちが近づいてきて、彼女の体を触りながら言った。「お嬢ちゃん、可愛いじゃないか。いくらだい?」

鐘清は戸惑った。「私は違います...」

「違う?」男は笑みを浮かべた。「お嬢ちゃん、こんないい素質があるのにこの仕事をしないのはもったいないよ。向こうの女を見てごらん。もう四十過ぎで、見た目もよくないのに、月に数千元は稼いでるんだ。お前なら間違いなく大金持ちになれる。客は必ずリピートするし、毎日来るぞ!」

そう言いながら、彼女の太ももを撫でた。

鐘清は体を震わせたが、思わず向かい側を見てしまった。

派手な格好をしたその女性は確かに見た目は良くなかった。あんな素質でもお金を稼げるのか...