蕭海清は口を引き締めて笑った。もし彼女が大悪役なら、将来彼女を倒す主人公は、おそらく彼女のあの義理の弟だろう?
もしかしたら姉弟の大決戦が繰り広げられるかもしれない。
蕭俊は確かに無実だが、かつて江蓉は彼女に対して放任的な態度だった。彼女だって無実ではなかったのか?
蕭俊は彼女の弟だ。もしまだおくるみに包まれた赤ん坊なら仕方ないだろう。結局、性格はまだ変えられるのだから。しかし今や彼はものごとを覚える年齢になり、江蓉の教育の下で、蕭俊の心の中には姉の存在など全くなく、最近では口を開けば彼女のことを悪者だと言い、敵意に満ちた顔をしている。
三つ子の魂百までと言うが、蕭俊は彼女が最も嫌う人物の特質を兼ね備えている。彼女には彼の性格を変えるだけの能力はないと自覚している。
この弟はまだ小さい。彼女は江蓉のように底なしに手を下すことはないだろうが、同様に過度に干渉もしない。どんな風に育とうと彼女には関係ない。敵の子供の世話をさせるなんて、それは不可能だ。彼女はそんなに優しくはない。
「海清、江叔母さんは薬でも間違えたの?前は笑顔が偽物だと思ったけど、どうして今は前よりも怖くなってるの?」蘇楚は口をとがらせ、急いで追いつきながら尋ねた。
「そうよ、薬を間違えたのよ。でも、もう持ってきてくれたものだし、食べないと損でしょ?」蕭海清は笑いながら、教室に着くとすぐにお菓子を全部配り始めた。
大きな袋がいくつもあるお菓子は、彼らだけでは食べきれないので、クラスの生徒たちは見かけた者みんなが分け前にあずかった。
蕭海清は眉を上げ、親しみやすい雰囲気を漂わせていた。多くのクラスメイトは少し不思議に思っていた。
「蕭海清って前と違くない?なんか接しやすくなった気がする……」ある生徒が言った。
「そう?なんで私はもっと怖くなったように感じるんだろう?」隣の生徒が口をとがらせて小声で言った。
以前の蕭海清は気性が荒く、ちょっとしたことで罵り始め、目を見開くだけで人を驚かせることができた。しかし今はどうだろう、口元に笑みを浮かべ、見た目はかえって不気味に見える。