第25章:女性恐怖症

黒川浩二は何も聞こえなかったかのように、ゆっくりと坂本加奈の傷の手当てをし、大きな絆創膏を貼った。

絆創膏を貼ったばかりで少しかゆく、坂本加奈が手を上げて触ろうとしたが、指先が傷に触れる前に男性に手首を掴まれ、低い声で「触るな」と言われた。

「はい」坂本加奈は恥ずかしそうに小さな手を引っ込めた。

坂本真理子は我慢できずに近寄り、ぎこちなく直接黒川浩二を押しのけた。「何してるんだよ?お前、女性恐怖症で、女性に触れると気分が悪くなって吐き気がするんじゃなかったのか。なんで何度も妹に触るんだ!!」

坂本加奈は澄んだ瞳に驚きを浮かべ、呆然と彼を見つめた。

彼は——女性恐怖症?

初めて会った時、彼は確かに自分が転びそうになった時に支えてくれたのに!

坂本真理子は情熱的な目で彼を見つめ、「まさか演技だったのか?」