佐藤薫は瞬時に毛を逆立て、「ちょっと!黒歴史は言わないで!」
最初に坂本真理子と知り合った時、彼女は彼の外見に一目惚れしたが、付き合えば付き合うほど幻滅していった。
坂本真理子のことを好きだったことも、彼女の触れてはいけない黒歴史となった。
坂本加奈は軽く笑って、「わかった、言わないわ!」
佐藤薫はバッグから傷跡クリームを取り出して彼女に渡し、「うちの親戚がエステサロンで働いているの。特別にもらってきたわ。毎日塗れば、傷跡はすぐに消えるわよ」
「ありがとう」坂本加奈は遠慮せずに受け取り、スケッチブックバッグに入れた。
佐藤薫は彼女と一緒にキャンパス内を歩きながら尋ねた。「そういえば、今年の誕生日はどうするの?」
「え?」坂本加奈はすぐには反応できなかった。
佐藤薫は手を伸ばして彼女の頭を撫でながら、「忘れてたでしょ。もうすぐ中秋節だし、その後があなたの誕生日じゃない」