「うーん、私はかわいいものを食べて育ったのかもしれない」
「違う」耳元の熱い息がより近づき、唇が彼女の耳にほぼ触れるほど近づいて、低い声で言った。「かわいいものは、お前がいるから存在するんだ」
坂本加奈は息を飲み、言葉を発する間もなく、唇に乾いた温もりを感じた。
黒川浩二のキスは深く、まるで彼女を食べてしまいそうだった。
隣は宴会場で、話し声や議論の声が、かすかに聞こえていた。
このような状況で壁に押し付けられ、熱いキスをされ、坂本加奈は情けないことに全身の力が抜け、最後は彼の胸に寄りかかり、彼に支えられてようやく立っていられた。
黒川浩二は機嫌が良く、彼女の耳元にキスをして、低い声で冗談めかして言った。「ただのキスで足がふらつくのか、ん?」
坂本加奈は小さな手で彼の服をしっかりと掴み、息を切らしながら、甘く艶めかしい声で言った。「あなたが…」