車の中。
坂本真理子は膝の上にノートを置き、バックミラーをちらりと見た。
「本当に林波留を許すつもり?」
明らかにこの一連の出来事の首謀者は林波留で、白川晴香は共犯だった。
「そんなことないよ!」坂本加奈はきっぱりと答え、少し困惑した様子で続けた。「あんなに悪い人なのに、なぜ許すの?」
「じゃあ、最後にあの女に言った言葉は何だったの?」坂本真理子は理解できない様子だった。
坂本加奈は目をパチパチさせ、無邪気な表情で「あの人は林翔平のことが大好きだから、ああ言わなかったら、林波留のために罪を被るかもしれないでしょう?」
坂本真理子は一瞬驚き、しばらくして理解した。「離間を画策したってこと?」
坂本加奈は唇を噛んで笑った。「離間って何?分からないわ!」
坂本真理子は「ちっ」と舌打ちをした。「こいつ、ずるいな。」